~タマ~
日の光がのどかに照っている春なのに、その春に背いて散る花は、あわただしい、切ない思いで散っているのだろう。
(紀友則・古今和歌集・巻第二・春歌下)
「花の色のいたりいたらぬ里はあらじ咲ける咲かざる花の見ゆらむ」
~タマ~
今や全国津々浦々、春の光が至り及ばない里はなかろうと思う。それなのに、見ていると咲いている花咲いていない花があるのは、どうしたわけなのだろう。
(読人しらず・古今和歌集・巻第二・春歌下)
出典:小学館「新編日本古典文学全集 古今和歌集」